中学3年生の数学が苦手な子と
進めてきた学習も、計算の領域が
ある程度終わって文章題対策に突入しました。
「文章題!ウゲー!」
とか言っていたので(笑)、超丁寧に1問ずつ
解説を手ほどきしています。
そもそも、方程式を立てる作業自体は
小学校の計算の仕方の延長線上にあります。
例えば、方程式の最も基礎にある個数と代金の
問題について言えば、
Aの値段+Bの値段=合計金額
Aの値段・・・Aの個数×代金
Bの値段・・・Bの個数×代金
よって、(Aの個数×代金)+(Bの個数×代金)=合計金額
というようになりますが、
1行目自体は最も感覚的で分かりやすい
小学生でも理解可能な部分になります。
方程式は、基本的に和と差で成り立つものと、
数量関係の等しい関係を利用するものがあります。
難易度が低めなのは、和と差を利用する問題であり、
先に話した代金の問題や、平均の問題、
損益や濃度の問題はほとんど同じようなものであり、
さっと頭にイメージを作ってパーツを作っていければ
あとはその組み合わせにすぎません。
ですから、方程式はそこのイメージがちゃんと成り立っているのか、
という次元と、パーツを作ることができているのかという次元の、
およそ2段階によって、何が分かっていて何が分かっていないかを
把握していくことになります。
ああ、あとは計算ができるかどうか、という次元ですか。
ここは事前に色々問題にあたっておく必要があります。
この子の文章題に対する感覚を融解したのは、
次のような問題でした。
「横の長さが縦の2倍で、周の長さが48cmの
長方形があります。この長方形の
縦の長さは何cmですか。」
「どうやったらいいか分からない・・・」
そんな風にいうので、周の長さっていうのは
一体何か?ということから始め、
「全部足せばいいです。」って言うので、
「じゃあ全部足すでいいじゃん。
俺何か間違ってること言ってる?
そのまま式にしてみたらいい。」と返したのが
その子にとってはとてもしっくりきたようでした。
縦をxcmとし、横を2xcmとする。
x+2x+x+2x=48
それが、うちの塾でその子が初めて自分で立てた
一次方程式の式でした。
「できました!たったこれだけでいいんだ!」
と言って、その後どんどん文章題を解き、
その1週間後には各県の過去問である
割合、損益、速さ、濃度の問題にも手をつけ始め、
まずは感覚的な式を考えて、次にパーツを揃える・・・と、
言い聞かせた手順をしっかり”音読”しながらノートには
とても綺麗な式が並んでゆきました。
さすがに中学3年生ともなると、中学1年生よりも
認識の力が長けているので、できるようになるペースも速く、
勢いすら見られます。
そもそもこの子は小学生時代結構頑張ってきたと
聞いており、親御さんからもそう伺ってきました。
ですから、イメージの部分ではほとんど成功しており、
パーツを作って当てはめる、の感覚を作ってあげることで
文章題はスルスル解いていけるようになりました。
1の正確な理解が、2も3もできるようにしていけるのです。
さて、悠長に方程式の話をしていますが、
ようやく計算と方程式まで終えたと言うだけにすぎず、
ここから3ヶ月で関数、幾何、資料と全てを
習得していこうと試みています。
夏休みがあったらどれだけの基礎的な理解を
充足することができただろうか、ということも
考えなくはないのですが、言っても仕方のないことは
一切言わずに今ある状況でやれることをやるだけです。
理科も社会も英語もまだまだできず、順当に
課題を出したとしてもほとんど追いつかないから、
それでもどうにかする方法を考えなさいと言ってあります。
言われたことだけをしてもダメで、徹底的に
人から外れた感覚で努力をする必要があります。
隙間時間を暗記に費やすとか、寝る前に教科書を読むとか、
理解できていないことをまとめ直してみるとか、
夜寝る前から朝起きてから何をするかまで、
常時学習を意識していかなければ到底志望校は
合格し得ないという状況であります。
誰かから言われた課題、というのは無駄が多いのです。
小テストがあるからやる、とか、授業内容を理解する、とか、
そういうのは真っ当に学んできた人のとる方法です。
徹底的に自分は足りていない、それでもなんとかしなきゃいけない、
そういう頭の使い方というのは、根本的に別次元なのです。
常に目まぐるしく思考し、頭痛の絶えないような日々を
送ることができるか否か。その子に試されているのは
そういう意識が持てるかどうかということです。
でも、人生に何度かそういう経験があって、
徹底的に自分の学習を効率化していくような経験が
あるのかないのかっていうのは、今後の
財産になると思っています。
たまたまうちみたいな塾に通ってくれた生徒ですが、
運命は自分が導くものだ、ということを
理解してくれることを信じて言葉をかけ続けます。
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