自己効力感について。

大学院時代に好んで読んでいた専門書の中でも、

特に自分が興味を持っていたのは、

「自己効力感」に関するものでした。



1.結果予期

ある行動が結果を生み出すという予期

2.効力予期

結果を生み出すための行動を自分でできるという”確信”



の二つが、自己効力感を生み出す源泉となっています。

バンデューラのいう自己効力感とは、この確信の度合いを

指しているというのが一般的です。



さて、これを生み出していくための要素までもを

説明されていますので、ご紹介します。


1.達成経験

2.代理経験

3.言語的説得

(4.生理的情緒的高揚)

5.想像的体験


1は、言うまでもありません。

2は、周囲の友人による作用と言えます。

友人ができるなら自分も、という感覚です。

3は、指導者や大人によるものです。

説得というからには、理屈が多少必要です。

4は、薬物的なものを含むので、ここでは割愛します。

5は、自分のヒーローやヒロインへの憧れといった感じです。



理論というのは、あまり実践家にとっては

役立たないように思われる方も時々いるようですが、

指導というのは、いつも理論が前提となっており、

そこが空白であって適当に指導しているようですと、

中身に欠けるものとなります。



うちで唱える「世界を取り込んでいく力を」というのは、

まさに大学時代によく読み込んでいた自己効力感の概念に

基づくものが多くあります。



「いけるよ、やれるよ!」



昨年度は小学5年生指導のテーマであり、

生徒たちに爆笑されながらも、生徒たち自身が気に入ってしまって

すっかり口癖になってしまった子もいましたが、

実際、同じ言葉を発し、それが自分の価値観となる、

そういうところも狙っています。


言葉は、人の価値観を作っていくものです。



ちなみに、先ほど紹介した1〜5の中で、

自己効力感にもっとも関係が深いと思われている

項目はどれだと思いますか?



それは、1番目のもの。「達成経験」です。



当たり前過ぎましたか?

しかし、実際これは結構周囲の大人が

”何を達成とみなすか”という判断基準を

示さなければ、社会に生きる子ども自身は混乱をしますし、

それがブレるようでは子どもの目標も散漫とします。


そして、塾選びに際しては、その達成基準が

どのラインにあるか、という点を軸に

面接・面談において聞き取っていくことが、

中学受験における塾選びで重要なことかと思います。

もちろん、多次元なクラスを多く持つ大手塾においては

それは問題にならないかもしれませんが、

他クラスと比較されることで相対的に自分を

下に見て効力感を下げる小学生もいないわけではありません。

一部、そういう生徒さんもいらっしゃるということで、

そういう点も難しいところなのです。


しかし、最大限自己効力感を持つ子どもは、

”評価軸を自分で設定し、突き進む”次元に到達します。

大変自己統制的であり、あらゆる塾において

例えばどんな実力であったとしても、です、

どこの塾においても”手がかからない”と”伸びる”と

すぐに評される生徒さんは、

大抵この性質を長らく、周囲からの助けもあって、

静かに自身の内で育んできた子だと言えます。



良い指導者との出会いによっての変化というのもあります。

単純に現時点での能力での合う、合わないの判断が

難しいケースも実際は存在したりします。

良いことを言っていても、結論は、提供内容、評価基準、

目標設定と、子どもさんの環境への適不適が

大きなウェートを占めていくというのが、

長くこの世界で指導してきた私からの感想です。


これは、しかしながら新しく塾へ通わせようという

親御さんたちにとっては、特に見えにくいことの一つです。


ですから、入塾段階における実際の指導者との面接は

親御さんにとっての一つの賭けやチャレンジの一つとして

数えられているのかもしれません。



もっと、塾の指導内容や、何を評価しているのか、

カリキュラムはどうで、どのくらいの次元に最低到達し、

何を目指して指導をしているのか、そういった情報は

細かに発信していかなければいけないなと強く思います。

kojinkai

佐賀市の小中一貫学習塾 紅人会|kojinkai 公式ブログ