高校生を指導するにあたり、
実際最も大切にしているのは教科書の理解です。
教科書が解けるというのは、大抵普通の
ことのように思えますが、
”解けていても分かってはない”という
問題を解決していくためには何度だって
傍用の教材に振り回されながら、何度だって
教科書を読み直して意味を深めていくべきです。
今日は高校2年生が位置ベクトルの応用問題を
解こうとしていました。
この、sと(1-s)が意味が分からない、という
質問を受けていました。これは、教科書に
載っているレベルの問題の話です。
これはごく単純な内分や外分の問題の
応用問題なのですが、ついさっきやった
内分・外分の問題との共通点をつかめていないまま
この問題に入ってしまうと、当然この式の意味に
つまずくことになります。
位置ベクトルにおいて、この式が成り立つ場合、
点pはAB上に位置することを示します。
右辺において、分母のs+(1-s)=1が省かれているので
式の意味が捉えにくくなっているのですが、
pはAB上の点を示すという式なのです。
今日解いていた問題も、実際は異なる線分上の
内分点の共通点を恒等式において解いたに過ぎず、
それがいかに簡単なことであったかを高校生は
理解していました。
無理やり分かる、なんていう言葉はありません。
いつもそれを包み込むように、”そうに違いない”という
理解が存在する、その確固たる状態からしか
応用問題を理解していける喜びは生じません。
本当にできるようになった人間には、教科書を見て
その成り立ちについて感じ入る力を持っています。
よくできているなぁとか、確かに成り立つなぁとか、
そういう些細な感動とともに数学を行っています。
そして、特にこの式で示される内分点は、
小学生における逆比の感覚に似ています。
成穎高等部の数学の先生は、生徒たち全体に
よく分かるように、その感覚を伝える授業を
行っていました。
生徒たちにちゃんと分かってもらおうという
意図をよく感じる作図であり、いい先生だな、
ということがノートを見て読み取れました。
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