中3の数学が苦手だった子が、今日「小学4年まで掛け算ができなくて、2の段と7の段と8の段がどうしても覚えられなかったから足し算でやっていた」ということを言っていました。それを聞くと、逆にすげぇなって思っていたのです。
そもそもかけ算それ自体を、モニャモニャっと数字が変化するような計算だと思っている子って時々いるんですよね。めちゃくちゃやばい状態なのですが、それでも答えは合うものだから満点を取ってきたりするのです。しかし、当然のように物事を正確に認識しているわけではありませんから・・・まあ、やばいです。彼はまだ、ちゃんと掛け算が足し算の連続であり、それを活用しようとしていた点ではまともであり、むしろ抽象化しようとしてもできないということについて諦めず、具体的に攻め続けた努力家だったんだろうと思います。当然小数や分数を具体的に捉えることが難しくなり、小5以降はやや諦めており、整数で解けるものだけ全力でやってきたそうでした。だから、整数で行う面積計算と、角度は得意なのでした。
授業中に自分のやり方でやっていると授業の進度に間に合わないことも多くなり、そのことによって授業が未消化になることも多かったようです。それが、中3の通い始めの当初の成績に反映されていました。極端に数英、特に数学の成績が低かったのです。しかし、じっくりと基本問題集を周回していく中で、道具を得た彼は次々と問題を解いていけるようになり、もうノートを見れば数学が得意な人にしか見えないノートです。
この子との付き合いももう10ヶ月くらいになり、頭の中で何をどう考えているのかということがようやくわかるようになり始めてからは、この子は結構賢いと思うようになりました。能力的には当初は欠落したところがあって苦労をしてきましたが、彼の中には有り余る工夫がありました。頭がいいと賢いって違うって言いますよね?自分にできないことを、発想の転換によってできるに変える力を賢さと呼ぶなら、彼はすごい賢いです。
そこに、遅ればせながら正しい理論を叩き込んでいくことによって、ようやく公立入試問題での6割越えに到達。当初模試で計算すらできず3点しか取れなかったのは昨年10月のことです。まあ、難関というところには到達しないまでも、ここまで可視化できる工夫によって物事をこなそうとする姿も頼もしく、自身の得意分野においてきっと人より秀でた成果を残し、社会に貢献していくことと思います。
数ヶ月越しに私は彼に興味を持ち、テコ入れしてきました。よくわからないけどそうしたいと思った理由が彼にはあるから、それがどういう理由に基づくものなのだろうかということを知りたく、今はこの時間を過ごしているのです。
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