中学2年の子が、ポツリ。
「せんせー。先週受けた数学の実力テスト、まあまあ良かったんですよー。」
「ほう、48点くらい?」
「えーと・・・50点・・・。」
「それをまあまあっていうなら、すごく良かったって何点なの?笑」
「いやー、まだ今分からないのとかミスしてしまうのとかがあって、実力は全然なんですよ・・・もっと頑張らないと。」
昨年の夏休みすぎくらいでしたか。なんかこの子の数学への意識に変化があったのは。突然ありとあらゆる数学的なことに対する閃きの力が備わり始め、公式の成り立ちや運用に興味を持ち始め、”数学は楽しい”と明確に言うようになりました。さりげに実力テスト満点は2連続です。同テストをもう一人の女の子も、凡ミスがまだまだ治らず、今回もxとyを取り違えて一気に大問一つ落として42点だったと言ってましたが、その子の数学能力もここ最近やはり伸びてきたな、と。
数学を塾で指導する時間は・・・週50分くらいです。最近は本当に月に2回くらい、私がニッコニッコしながら証明をしまくるとか、ニッコニッコしながら変な問題に取り組ませるとか、それだけしかしてません。生徒が伸びるときは、私が好き勝手にやってる時の方が多いです。学校で教えられたことをもう一回教えたところで成績は伸びないし、予習内容をガンガン進めたところで成績は伸びませんでした(200点以上の点数帯の子の話ですが)。一番伸びるのは、指導者である私が、何か狙いを持った特殊な授業を生徒のために割と長い時間を使って用意した時の方が多かったです。運用の仕方の変化系とか、応用とか、新しいことじゃなく、分かりきっていると思っていた既存の論点について視点を変えるような授業を行うことによって響くのが、高得点帯にいるうちの生徒の特徴であり続けました。ちなみに、基本事項は基本教材で独学っていうのが塾のやり方です。基本”から”教えてくださいっていうのは、今の生徒のレベルを考えると難しいですが、基本”を”教えてくださいっていうのは大歓迎です。全く意味合いのことなる指導です。どんな、いかなる方法でも揺るがずそれであるっていう面白さを教えて欲しいっていう場合、それは歓迎します。
決まったことをやって、決まった範囲を全部やり、その中から出題されるテストなんてつまんない。それは実にワガママなように思いますが、新しいことへ興味を持ち、深め、もっと広げてみたい!っていうようなきっかけを欲しているのかもしれないということは、今通って、私を信頼している全生徒に共通していることです。そんな授業を作るっていうのは結構体力のいることですし、事実一つの授業を作るのに3時間も4時間もかかることだってあるのです。でも、私だって面白い授業したいし、いつも自分を塗り替えていたいものです。
”長くやるとシステム化して、定型化された指導をし、生徒を送り出すようなベルトコンベアみたいな仕事だ”って、かつて勤めてた塾のトップが言ってました。私はそうは思いません。つまんない仕事なら辞めます。転職するでしょう。しかし、生徒がいつも新しい私を感じて、自分も新しくあろうと思ってくれるその瞬間瞬間が短い授業の中に詰まっているということが私にとってのこの仕事のやりがいであり、目標でもあります。
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