意味を理解するプロセスとしての指導。

 新5年生の春講座は、国文法と算数の計算講座。割と長い時間を取っているのに、やる内容がこれだけということもかなり目的を絞った講座でした。

 

 国文法は、主語・述語・修飾語の完全理解と習得を目指しました。今日は特に、述語とは何かという定義の話と、述語の分類の講座がメインでした。述語には、体言+助動詞のパターンと、用言(+助動詞)のパターンが存在します。体言はすぐに分かるのですが、用言は3パターンあり、一つ一つ具体例をあげ、発問をしながら深めていきました。

 

 「人間は、”起きる”と”寝る”の間にどんな動詞を使うような生活を送っているだろうか?例えば、”起きる・食べる・寝る”だけで人間の生活は説明できるだろうか?」

 「”呼吸する”もあるし、”見る”もあるし”噛む”もあるし、”飲む”もあるし、”動く”もあるし、・・・なんか考えてたら本当いろんな動作をしてるなぁ。結構生きるっていうのは忙しいなぁ・・・。」

 「起きてから寝るまでに一体幾つの動詞で説明できるような行動をとっているのか、考えて見るのも面白いかもね。今回は自分とか私とかを主語として分かりやすくしたけど、主語を説明する言葉を述語っていうんだ。」

みたいなね。

 

 そんなこんなで用言の個別の品詞を片っ端から説明する文法指導を70分したのちに算数15分。小数の性質から。あまりに簡単すぎてほとんど授業不要だった故に、残り時間は演習問題。教えてないけど、4年生の単元からの連続性で全員例題指導ほとんどなしに理解していたので、振り回しの例題をこちらで構築して3問だけ発問すれば成立しました。

 

 新5年生は、計算の領域をさっさと仕上げてしまい、その後整数問題、幾何に回った後に数量関係の領域を扱うという特殊なカリキュラムを組んで、夏休みまでに全領域を終了させ、残りの2学期以降の期間を文章題対策と幾何の応用問題に回すという段取りにしています。これまでの学年は、軽快にガンガン進んでいくスタイルをとってましたが、この学年はかなりずっしりとした基礎積みを重視してカリキュラムを作りました。もっと速かったんですよ。宿題も多かったですし、それでもついてこられていましたから。しかし、別に今の学年の子たちがそれに耐えられないということではありません。この学年はそういうカリキュラムで行こうと決定したにすぎません。

 

 コンセプトは明確です。例えば、「0.4×3は0.4を3回足せばいいし、4年生の学習内容で言えばそれで良かったと思う。俺だってそう教えたしね。しかし、3×0.4は、3を0.4回足すっていうことでいいのかな?君たちは教えてもいないのに答えは出ていたから、まあそれでもいいっていう考え方もあるけど、実際はただ交換法則を使えばいいって思ってるだけだろう?式の意味についてもっと考察して、どう考えたから答えが1.2になるのかということをもっとちゃんと理解したほうがいい。その考え方に発展していくためには、一つの方法として0.1個とかいう発想に至る必要がある。3の0.1個分は10で割ればいいから0.3で、それが4個だから1.2。これだったら成り立つんじゃない?個数で考える発想にあった考え方だと言える。0.4は0.1が4個分だと先の例題で考えたはずだから、そこから応用するといい。あるいは、0.4個というのは4個を1/10にした数だから、3×4÷10としても成り立つはずだ。これは、結合法則と、÷10をすると小数点が一桁小さくなる方に動くという式の考え方に基づいている。すでに4年の時に5年の小数計算の筆算だけは軽く触れてたけど、筆算をするときの考え方はこれだね。考え方が結構あるんだよ。他にもあるから、次の授業で色々紹介していこう。」小さいことをめちゃくちゃ議論する。もう分かってるから問題解きたいっていう気持ちをグッと我慢させ、”あれ?どうやるんだっけ?”と立ち返ってもらう発問をし、解決策を構築してもらう。

 

 はっきり言って、これは真っ新な生徒だから成り立つ指導でもあります。何か妙に知ってしまうと、どうせ答えは同じになるからどっちでもいいっていう考え方に至ってしまい、その式が答えに結びつくための根底的な意味づけにまで到達しない場合もあるのです。だから、うちの塾には向き不向きがあります。分かってないのに分かった感じになって微細な事柄への説明を無視したりするようならば、授業を受ける価値が半減します。できるだけ真っ新で、素直であるほうがいい。実際前者は割合的な思考をする時に大いに役立つことになるし、無視できる解法というのはないのです。前者のような計算方法を無視した場合、割合は大抵苦労します。掛け算と割り算が逆になったりしてね。個数感覚と計算が意識の中でリンクしておらず、字面とか謎の法則性とかで捉えようとする点で欠点が生じてしまうこともあります。

 

 この学年は、うちの塾が初めての塾という子も多く、こんな小さな計算式の意味についてもしっかり議論しようという意識がありまして、何事も安易に捉えず、深めようという考え方が成り立っていて安定感があります。「楽しかった!」の言葉と、実際にできているという事実だけでだいぶ満足です。まあ、敢えて大手の早回しカリキュラムを選ばず、私の独自カリキュラムを選択したグループとして、何事も100%理解と、その道具を使っての文章題や幾何の特訓を楽しんでいきましょう。個人的には夏休みまではかなり地味な仕事が多く、生徒にとってもできることばかりで割と退屈であることもあるかもしれませんが、基礎がしっかり体にしみついた状態で高速で中学受験教材に取り組むほうが絶対に楽しいですから、”分かる”を前提にした思考を楽しめるようにしっかり下積みを行っていきましょう。

 


kojinkai

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