研究結果。

今年の小学5年生の地理の指導は、

自分にとっても大きな実験でありましたし、

色々研究をさせてもらいながら行ってました。

はっきり言って、日本地図も覚えておらず、

どこが何県か、県庁所在地は何かということから

全部を把握していない段階からこの学習はスタートしており、

生徒たちの予備知識はかなり少ないところから始まりました。

こんな次元で予習シリーズを使ってうまくいくか、

まして週50分しか授業時間が取れないのに、大手のように

満足のいく結果が得られるのか不安もありました。

あまりよくわかっていないが故に、

地理嫌いの子も多かったことは事実です。

しかし、今回の模試は全員84点以上を獲得し、

うち半数以上が9割を超えていたということで過去最高の

平均点を獲得しており、簡単な分析結果をここに

書き残しておくことにします。



1点目。資料の提示。

具体的に資料を見せると、小学生の

エピソード記憶が目まぐるしく活用されること。

よって、記憶の定着度合いが著しく高く、

やはり地理はその場に行くわけではないから

資料を膨大に見せてなんぼだということ。


2点目。テスト範囲の提示。

「この辺テストに出すよ。」って言って資料を配ると、

そのプリントの丸暗記を徹底してやってきて、

全くもって対応力がつかなかった。

資料を配ったら点数が上がるかと思ったら、

平均点は逆に下がってしまった。

その時は色々喋れても、2〜3ヶ月後に残る知識には

なり得ておらず、やはりというべきか、

自分で問題を作ったり、自分で資料を参照したり、

そういった時間が長ければ長いほど点数は高かった。

問題だけ解いてきた子は点数が合格点(8割)くらいにとどまる。

満点近く取る子は、問題をあまりとかない傾向があった。

そして、隅々まで資料を読んで、理由を納得し、

納得の回数を重ねている傾向があった。

社会は暗記、問題集を完璧にしろ、満点にしろっていう指導を

覆す結果となった。これは、中高生でも同じで、

当然の結果と言えた。


3点目。地図や資料からの想像力。

「この地形を見てどんなことが分かりますか?」

「この資料を読んでどんなことが分かりますか?」

地形と気候、地形と人口配置・推移、地形と産業など、

地形から必ず思考させる手順をとって5年生の地理は

指導を行ってきたが、情報引用力が高い。

例えば、キャベツの生産高のグラフを見せていた時に、

愛知が1位で群馬が2位だったことを受けて、

生徒はこういって言っていた。

「愛知は明治時代に園芸農業を盛んにしようとしてたって

いう話を先生から聞いたし、キャベツはよく料理に使うし

大都市近郊だから1位ですよね。

群馬県は高冷地農業が盛んだから、抑制栽培のメリットを

生かして2位です。多分・・」

授業で話したこと、資料を読んで納得したこと、

小学生が目の前から理解できる範囲で

話をしていた。

中学2年生たちに見せたい授業だった。



予習シリーズの5年上もほぼ終わり、

先行して演習してもらっていた九州地方〜北海道地方の

調べ学習も、「なんか懐かしかったよ!」って言って

色々な話を楽しそうにしてくれる生徒が多く、

「12月に全部終わるから、1月からはiPadじゃなくて

地図帳をみんなで持って、改めて全国ツアーしよっか!」

って言いましたら、

「え!?全国ツアー!?もう一回やれるの!?

やったー!!!!その地図帳超楽しそう!嬉しい!」

ってみんな超ノリノリでした。



今日の授業冒頭でお話をしました。

「先生は小学生の時に地理が嫌いでね。

中学生の時も嫌いで、ほとんど手をつけなかった。

だから、中学生になっても都道府県名全部言えなくてね。

勘が働くから答えは間違わないんだけど、

君たちほどちゃんと理解はしていなかったよ。

君たちはその点すごいたくさん知識を説明できて、

先生からしたら君たちはとても優れていると思うよ。

君たちは本当に素晴らしいんだ。先生から見ればね。

でも、望んでもいいならば、先生が研究してきた7年間で、

君たちと一緒に学びながら遊んでもいいかな?

先生は地理がすっかり好きになってしまって、

君たちとはいつまでもこうやって議論してたいと思う。

そうやっていつもあっという間に時間が過ぎていくよ。」


学習が始まった当初から比べると、

小学5年生というのは成長がすごくて、

みんな身長も伸びますし、精神的にも大人びてきて

自分で学習をできるような素養が備わります。

改めて、自分がまだ幼かった頃の学習を

振り返りながら、思うところがあるようでした。



少しまとめます。

地理は、地図と資料から類推する力を育てるのが

その教科の本領です。

理由づけをしっかりと行い、何度も資料を読み、

なぜそうなのか?ということまで含めて全面的に納得すること。

多少知識が少なくとも、基本問題集を演習すれば

あっという間に知識は身についてしまいます。

理解がない状態で社会は本質的な意味で学習はできない。

高校生まで繋がっていく学習をするためには、

テスト対策ごとに問題集の丸暗記をするような学習では

到底地理的な視点は身につかないということ。


そういうことは、この5年生の学年で、

一緒に学んで実験しながら得られた結果です。

kojinkai

佐賀市の小中一貫学習塾 紅人会|kojinkai 公式ブログ