2年生の時から通っている生徒さんのおはなしです。確か、足し算引き算も謎の法則を使って解く習慣があり(足す言葉・引く言葉など)、計算も平均から見ればかなり遅く、一体何からどうやってトレーニングしていこうか・・・と考えに考え、一つ一つ指導内容をしっかり作ってやってきた生徒さんでした。
まず、問題文の音読。そもそも文を読むときの文の切れ目が捉えられておらず、意味を正しく認識するために、発声からしっかりさせました。私の読む言葉を真似てもらいながら、話し言葉と書き言葉の接続をじっくり行うというトレーニングが先行しました。意味がわかっていなさそうな時は、大抵読むときの切り方が違うので、一緒にアクセントも大切にしながら読んだというのが、小学2年生の時の話でした。
次に、数量関係の可視化。絵をとにかく書きました。年齢が上がってからは、数直線を使用できるようになりましたので、考える道具を数直線に切り替えながら、何度だって文章題に取り組みました。式が5個〜8個くらいいる文章題もありましたが、粘り強く取り組んで答えにたどり着いたという成功体験をじっくり積ませました。
そして、計算。この子はあまりに量の多い宿題に、涙を流しました。絶対にできるはずはない、と。しかし、もう週に20ページくらい課題を出しても「どうせこれくらいすぐ終わるよ!」と、取り組む問題にかかる時間感覚もおよそ掴めるようになり、計算は速く、正確になっていきました。「それでも遅いよ。先輩たちは君が3分かかるページを40秒くらいで終わらせるし、先生は30秒くらいで解ける。学年とかクラスで一番基礎計算が速いっていう生徒、実はうちの塾には多いんだよ。もちろんちゃんと正解していることが大切だけど、自信を持ってこれは解けるっていうちょうどいいスピードを上げられるように宿題に取り組んでみよう。」と言うと、自分でタイマーを持ってきてトレーニングし始めました。そういう判断能力もついてきました。
本当に何とかしたいという気持ちと工夫で動いてきた1年半でした。今、実はやっと当該学年の学習に追いつきつつありまして、それまでの学習は、小1内容で考えてきたあれ、小2内容で考えてきたこれ、と、そんな繋がりも理解しながら3年生の学習に取り組んでいます。
以前はポーッとしていたその子も、ちゃんと目つきがシュッとなってきて、落ち着いて指導に耳を向けることができるようになり、これなら4年生に上がっても問題ないだろうというところまで、精神的にも、実力的にも結構引き上げられたかな、と思っています。まだまだですが、その子は私に習いにくるということを楽しみにしてくれていると言います。新しいことが出来るようになるから、だそうです。実にポジティブで、頑張り屋さんだからこそ私の厳しい指導にも耐え抜き、乗り越えて来られました。
時が経つのは、本当に早いものです。
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