歴史が全力で苦手な公立中学生。この子たちには応急措置として、全10枚程度の小テストを実施するようにしました。
「1枚につき25問程度。満点以外は不合格。漢字で書けていなければ不合格。合格したら、そのテストに対応する歴史漫画・伝記等を読破し、同テストでもう一度満点を取ること。テストが全制覇できた段階で、再テスト。そうしたら、自身の持っている検定教科書を読み直し、その後に総まとめのテキストを基本問題から解き始めること。」
これを義務付けました。
そして、パーリーピーポーの彼は余裕だと思って小テストを申し込んできました。結果。金印の”印”の字だけ間違って不合格。私はこう言いました。
「小さなミスといえば小さなミスだよ。君がこのミスを良しとするなら、満点扱いにしていい。俺が君の立場なら、満点にして先へ進む。分かっているならそれでいいっていうのが先生の感性だからだ。俺なら次は100%間違わない。自信がある。だから、俺ならそれを合格として先へ進む。君にその自信があればそうすればいいし、この事実をどう受け止めるかは、人によると思う。その心は君に任せる。この葛藤をどう受け止める?」
彼はちょっと涙ぐみ、しばらく突っ伏したのちに、
「俺は自分の実力を甘く見てました。絶対に間違いがないと思っていたのに、こんな単純なミスですけど、本番はバツを食らうんですよね。それじゃあダメなんです!」
って・・・。塾の空気は重くなりました。こんな小さな、何度でもできるテストに、彼はどれだけかけていて、それをどれほど自分のステップをしようとしているか、そんな事実を目の当たりにしました。通い始めて最初の定期テストで結果が出なかったことより、SAGAテストで結果が出なかったことより、そんな小さな、自分が完璧にできていると思っていたテストに、彼は凹んだのです。
最近の彼の成長ぶりは、他の教科でも見て取れます。英語の授業をしている時も、私が話した余計な知識、コツなども、資料にどんどん書き込んで、自宅でめちゃくちゃ復習をしていると聞きます。私が冗談めかしてあれこれ説明することも、彼のプリントには100%重要事項が記載されていて、絶対誰にも負けたくないっていう気持ちが表現されていて、その密度の高さに驚かされます。私立の上位生は、彼のメモした内容を見てほしい。一切手を抜かない、一言一句聞き逃さない、そんな丁寧さが全体にわたって表現されています。
頭がいいだけのやつを蹴散らしてやりたい、そんな想いをビンビンに感じるその子の想いに、自然と私の気持ちも傾いていきます。この躍動感、伝わりますか?私の気持ちは、彼と共にあります。彼の悔しい気持ちも、努力も、常に私の中で蠢いてます。
来週会った時に、彼はまた変化しているでしょう。その変化を楽しみに指導をできる喜び、伝わりますか?
彼は言いました。
「俺と先生の出会い、覚えてますか?俺がどうしようもないパジャマみたいな格好で、カマキリハンドルで自転車漕いできて、先生が最初に用意した問題をほとんど手をつけられずに真っ白なまま提出して。その時の自分は、何が分からないのか、どう分かればいいのか、何一つ分からずに悩んでいました。今は何をどうしたらいいいのかわかりますし、今の自分をどうこうしていくには時間が足りなすぎます。家でもできますけど、できるだけ塾に来て、塾の空気で学びたいと思ってます。」
彼は指導のしがいがある。毎日会うたびに新しい。こんなに変化する生徒だと思っていなかったから、余計に彼の気持ちが近くに感じれらて、何かを一緒に変えていきたいと思ってしまうのです。
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