「文を行飛ばしに読んだり、何度も同じ行を読んでしまうんですが・・・」

 中3の男の子から、こんな相談を受けました。この子、決して国語力がないわけではなく、学校の定期テストでは国語は比較的高得点を取ってきます。しかし、業者テストのような新しい文を読むような問題になると、途端に点数が下がります。何故かと塾で模試をして検証をして見たところ、圧倒的に読むペースが遅かったのです(確実に解いていた問題は9割方正答をしており、その得点率は大問ひとつに限れば塾でトップだったのです)。おかげで、3題あると1題は完璧になっているのですが、残り2題はほとんど当てずっぽうになっているのでした。

 彼に何故そうなのかと聞いたところ、「小説を読んでいても、何を読んでいても、何度も何度も同じところを読んでしまったり、行を読み飛ばしてしまってよく分からなくなってまた何行か前に戻って読むことになったり、とにかく自分は読むのに時間がかかるんです。全部読み切ってしまえば言ってることは分かるんですけど、自分、昔っから読むのが苦手なんです。」とのことでした。だから、これまでも学校の授業についていこうとすると、どこを読まれているのか分からなくなったりして混乱してしまっていたようなのでした。

 

 以前から彼の言葉の中から、軽度なLDの症状に当てはまるような気がしていました。このような”読み”に難しさを感じている場合、普通に読もうとしても上手く読めないのです。だから、何らかの方法を与え、読み飛ばしのないように読む技術・テクニックが必要になってくるのです。別に特別なことではなく、低学年の生徒に対して読み飛ばしのないように鉛筆でなぞりながら読むとか、指で指示しながら読むとか、最悪一行ずつ隠しながら読むとか、そういった読みやすさを自力でサポートできる技術を使って補っていくことで、改善していくことも多いのです。この子の国語の力は一般的な子よりはやや上回っており、まともに読めるようになりさえすれば上に書いたように理解し、得点につなげられるので、できないことは技やテクニックで補っていくようなスタンスも大切だという話をしていきました。

 

 少し深く生徒を知っていくと、何が原因で何ができないとか、何が得意で、本当はどうやれば能力をもっと活かせるのかとか、そういうことにとても興味が湧いてきます。生徒がそうやって改善していきながら自信を持って、もっと自分の能力を伸ばそうとしてくれるようになれば、私も仕事してるな〜って感覚になれます。

 

 意外と、”量”以外に課題を抱えている子も少なくはないので、正しい認識で生徒と向き合うことはこれからも大切になるな、と感じた次第です。

 


kojinkai

佐賀市の小中一貫学習塾 紅人会|kojinkai 公式ブログ