愛される素質。

 勉強できない生徒はいっぱい見てきました。パーリーピーポーの彼とかは、実際中3で入ってきた生徒の中では過去最高に勉強が苦手でした。

 

 (+6)+(+2)=+4

 

になってしまうくらいの学習状況だったので、ほとんど詰んだと思っていました。数学は10点乗らないこともしばしばでしたからね・・・。他教科も基礎の作り直しから徹底的にやりました。先日やっと佐賀工業でC判定、あと数点でB判定のところまできて、”俺は絶対に受かるんだ”って言って頑張っています。最も苦手だった数学も、最近は熱心に基礎トレをしていますし、定期テストも「俺はまだ未熟だから他の人と同じ方法では時間内に解けないし、正しく解けてる感じもしない。」と言って、独自の解法を試験の中で編み出して、今日授業後に検討会をしていました。ほ〜、これは面白い、と感心しましたね。あの問題を、できないからと諦めるのではなく、自分の解ける方法へと運んで解こうとするのは実に感心しました。

 

 未だに、学校の課題は提出が遅れたりしているようですが、彼には理屈があるようです。

 

「みんな一緒のタイミングで出せって言われても、俺は出来ていないし納得していないんですよ。提出期限は間に合えていないけど、出さなかったことはありません。なのに、先生は俺を目の敵にして叱るんです。」

 

 彼の言葉には、嘘がないから信頼しています。時間がかかってしまう時は、深夜の1時とか2時になったとしても、できる限りを尽くしてやってくるから、俺は彼は愛される素質を持っていると思うのです。

 

 先日、そういう意味で典型的なことがありました。土曜日の授業後に、ご飯を買いに行くという時に、私のおにぎりも買ってきてもらうようにお願いをしたのです。すると、彼は買ってきた後に本当によくしゃべっていました。

 

「先生は、まず和食派か洋食派か分からなかったので、おにぎり選びはマジで悩みました。だから、隣にいた友人に聞くと、”先生はこの前俺に梅かつおのおにぎりをくれた”と言っていたので、先生が好きなものの一つは梅かつおだと思ったので、それに決めました。もう一つはなかなか選びにくかったのですが、今日は寒いし、梅かつおは和食系だったので、洋食系であっためて食べて美味しい肉系で攻めてみました。どうでしょうか!?」

 

「俺、好き嫌いないから適当でいいんだよ。食べ物で人を困らせたことないから。笑 でも、ありがとう。美味しくいただくよ。」

 

 頭の良し悪しじゃないな・・・と。この、なんというか本当に人のことをよく察して考えられ、理屈を構築している彼を見ると、将来きっと彼を見つけてくれる人がいると思いますし、安心して送り出すことができます。